ツクモク、マルチーズロック@Tokuzo

久々のTokuzo。2200円。バルサミコを使ったやきそばは美味ながら量が少なかったので主食をおかわりしたかったがそれも我慢し結局ヱビスビールやらウコン酎やら。沖縄・勢理客GrooveのオーナーGachapinがベースで参加するユニットを観ておきたいという理由で。オフノートのスタッフも同行されていた。さてタイバンはツクモクTsukumokuという地元のバンド。舞台両袖にエレクトリックギター、中央のドラムスの前にキーボードとベース2名の女性。最近、名古屋の新しいバンドの多くが最初から安易に老成してしまっているようで(そんなんは工藤冬里ひとりに任せておけって感じ)なんら期待もなく臨んだのだった。演奏が始まる前、はっぴいえんどサニーデイサービスあたりかな、などと見当をつけて音が始まったところそんな柔な予想が崩れてステージに釘付けになってしまう。中央、ベースの女性の髪型の衒いのなさが70年前後の風貌にみえてしかたがなく、その女性が思い出したようにシャウトしたり、決意めいてコーラスに加わったり、歌の途中に予期せずベースを走らせたり、それらははちゃめちゃではなくて、あくまでもポップスの範疇でしか成しえないことを実践している。もちろんギターソロも完璧なドラムスも光るがその美技でさえジグソーパズルの一こまに過ぎず、演奏全体からかもし出すサムシング、行間の心地よさというか、こんなめまいを起こさせる演奏は最近、出会うことがなかった。このスマートな(クレバーな)時勢に若くしてバンドらしいバンド演奏という、もっともハードルの高いことをやってのけていた。一部、平坦な楽曲も混じったが、あのグルーヴだけで1時間聴かされることを避けてバランスが図られていたと思う。帰宅後HPなど紐解けばfavoriteの名にLittle Featなどみかけたもののそれだけでは到底合点にはいたらず、隠れDead的と言っても失礼にあたらないのではないか。とはいえ演奏者じしんがどれほど意図的なのか自覚的なのかどうかは定かではない。CDRは入手せずに終わったが次回ライヴにはお伺いしたいバンド。さてメインのマルチーズロック。アウェイ感覚が強かったのか演奏の勢いはいまひとつに思えた。ヴォーカルの存在感は折り紙つきであろうが、そのことじたいが逆にバンドとして弱点になっている、と思えたのはタイバンのせいだろう。地元でみれば本来の楽しさを実感できるかもしれない。ただオキナワは遠くなってしまった。