映画+音楽ショー 『プリミ恥部な世界』 中部ツアー名古屋編

1500+500。前日、同じ会場のイヴェントに参加できず。案の定、幾人の方から声をかけていただき恐縮する。ヱビスビール。本日は平岡香純(カスミン)さんの自主制作映画がライヴを挟む構成。KDJapon恒例の向かって鶴舞駅方向の壁面へ投射する。ライヴに備え最前列に臨むがさすがに映像では視線がきつい。まず「落書き色町」、彩色を多用した演劇のイメージが続き、既視感を否定できない。さてその映画の上映中にぞろぞろと胡散臭い野郎どもが会場入り、「東洋之ユニット」の面々。当初のふれこみでは東洋之、ナスカ・カー、河端一のシンセ組+宮下敬一、Chang Chang(どぶろく兄弟)のギター組の計5名だったが、あれ?、ジュンゾさん…。これで総勢6名のむさ苦しい大所帯に。前列がシンセ組、奥にギター組、これだけの兵(つわもの)が、多少のアクションはあっても基本的には突っ立ったままの姿勢なのがいとをかし。ギター部では宮下さんのミニマム奏法が冴える。さてシンセが並ぶのは当方耳にしたのはGood-Bye Hard Rain、あるいはその前が2004年の七夕電子宇宙音祭以来か。いやそのときには河端さんがギターだったから当方お初か。演奏が始まって中座する若者がちらり居て、おいおいせっかくの機会をみすみす…いや無理もないかも知れない。再三書き連ねてきたが、当方にとってこのあたり(などとひと括りにしてしまうところが失礼千万)、最後に置いてきぼりを喰らわせてきた音だったから。全体の基底音をつくる中屋さん(テルミンが終に動かずNintendoDSのソフト)、モチーフを提示する東さん(Korg)、僅かに右に距離をおいてカラフルな井出達の河端さん(Moog)、Cosmic Melting Blues Band 時と同様、この期におよんでも正=反を意識せざるを得ない彩りを重ね、音を構造化していく…それぞれの役割も明確ではなかったか。僅か二十数分の演奏ながら逃さなくてよかったのである。さてメインたる「プリミ恥部な世界」。最初に申せば、映画については唇寒し、ただ映画として「落書き色町」よりもスピードがあり、観ていて楽しめた。知っている人がいつスクリーンに登場するか、という自主制作的なノリをかもし出す客席もおもしろかった。ただし当方にとって「ライヴ演奏」とはとある御仁の専売特許とみなしている感があり、あまりにその存在感ゆえ別基準であり、もし音楽だけで成り立つことが「最低条件」だとすれば今回の音楽はいまの自分には切実には迫るものではなかった。

  • Miminokoto - Performance 2009 (self-released) ジュンゾさんから。関連作品として次の物も版元から届く。今年初め名古屋での演奏が救われて収録されたのが嬉しい。
  • 20 Guilders - s/t (Sloow Tapes)