渡辺勝レコード発売記念名古屋ワンマンライブ@K.D.Japon

職場を出るときにはおりたたみ傘をバッグにしまい込んで近鉄急行に乗り込んだのに、名古屋へ近づくにつれて電車の窓に雨の流れが速くなる。鶴舞いつもの四川料理店にて、ヱビスビール、蒸し茄子のにんにくソースかけ、豚レバ+ニラ+ネギ炒め、ご飯。しかし店内で大声で携帯かけている奴がまた居た。以前と同じ人物に間違いない。ドアを開けたときすぐに聞こえてきた、あまりの下品な声にきょうは店に入るのをやめようかとさえ思った。たぶん常連だろう、飲み屋の女性からの電話をいちいちこの店で自慢する馬鹿がどこに居る?ここに居た。最低だ。こういう客をのさばらせておくと店はだんだん衰退していくだろう、と予言しておく。って当方もアウェーだからその場で注意はできなかったけれどね。蒸し茄子は逸品でした。さて雨足の強くなった鶴舞を北東へ。K.D.Japonの店内に灯りがみえたから入ったところ、開場は7:30だという!早く着きすぎた。スタッフの計らいで店内にて待つ。2000+500。渡辺勝のライヴ時にはいつも泡盛のロックを、いつぞやの沖縄の夜に乾杯するために。今宵は渡辺勝のレコ発、なのに既に松倉さんの新作とともに入手済み。そこで松倉さんからCDRを特別に分けていただき恐縮千万。松倉さんは9月5日、吉祥寺での渡辺勝ライヴを強く推していて圧倒された。開演前に唯一求めていないふなとさんのソロCDRを購入(2階席で寝転んでいたふなとさんへ階下から手渡す)。さて8時より9時半過ぎまで、全体の2/3はふなとさんとのデュオ。終盤が完全なソロ+松倉如子を加えたもの。今宵のハイライトは『シルバラード』収録の「星が生まれたよ」とみた。渡辺勝の穏やかでいて激しさを内包したガット・ストローク、そのサンバ調のリズムと複雑に絡み合うふなとのベース、あそびごころいっぱいできっちりとコードをフォロー。たった二人なのに、打楽器がいなのに、ゴージャスなオーケストラに匹敵する躍動感だった。久々に生で聴く「花嫁御寮」も恐ろしい出来だった。切れ目ないピアノ演奏によるメドレーも健在。以前、渡辺勝を指してイベリア半島あたりの吟遊詩人、などと形容したが、シャンソン、ファドあたりが隠し味になっていて、もはやフォークなどとは呼べない。春を待つ詩人、それも「國敗れて・・・」と荒涼とした景色を歌うのか、あるいは決して戻らない、過ぎ去った春への惜別か。本来ならば遥か遠くにいってしまう存在を、幾ばくも間を空けずにこうして面前で体験できるのも(毎度同じ台詞だが)なんと贅沢な時間か。天気に左右されたか、客足が少なかったけれども、個人的には立ち見で、体を揺らして観ていた。

  • 船戸博史 - 通り抜けご遠慮ください(selfreleased, CDR)