寺山修司×湯浅譲二

寺山修司のラジオドラマ全6枚のうちとりあえず湯浅譲二が音楽を担当したものから入手した。第一印象としては、語り入りの湯浅作品というよりも何よりも寺山作品であったということ。とりわけ「まんだら」は《寺山イコンの博覧会》(湯浅譲二)。とはいえ土俗的な博覧会ではなく舞台は東京、さらに「オルフェ」の味わいも備えた作品。ヒロイン(と呼ぶのはおかしいが)の心くすぐるコケティッシュな語りは吉田日出子であった。音楽に限って記せば「箱」は子どもの合唱団が狂言回しとなって進行、「黙示録」ではオーケストラ、「まんだら」は電子音楽NHK電子音楽スタジオ!)とちょうど振り分けられている。「まんだら」では祭りの喧騒、三味線などが電子音楽を凌駕するほどステレオで登場するが、津軽ではなく太棹三味線を使用したり、そもそも三味線の音に電子音楽的ミックスを加える細やかな作業も含まれた音楽担当なのであった。