湯浅譲二の関連著作

  • 現代音楽・ときのとき(全音楽譜出版社、1978) なかなかみつけられなかったが中古で。初のエッセイ集、という触れ込みは適切ではないかもしれない。映画音楽、万博、子どもの歌などサブカルチャーへの言及も多く、後出の『人生の半ば』よりもバラエティに富み当方には楽しめる。月刊誌のレコードレビューもこなしており、タージマハル旅行団をリアルタイムで認めているなど、さすが。
  • 音楽のコスモロジーへ(青土社、1981)古本にて。連続対談をまとめたもの。山口昌男大岡信杉浦康平、飯村隆彦など非音楽家ばかりなのが、さすが。個人的には井上武吉の名前にはっとした。三重県立美術館の特別展で、質疑応答で手をあげた想い出があるから。
  • 人生の半ば―音楽の開かれた地平へ(慶應義塾大学出版会、1999) グラフィック・スコアが印刷された半透明のトレーシングペーパーに包まれた美しいA5判。『ときのとき』の続編。音楽に言葉(評論)は必要か、と問うならばぜひ必要と考える。また優れたアーティスト(作り手)は饒舌である、というテーゼもまた真。饒舌と能書きは別。ところで本書巻末の作品表をみても「ジェットききゅーん」の初出がわからない。なお版元は湯浅氏が中退した《心情的母校》の出版部からというのが、さすが。
  • 湯浅譲二の世界(河野保雄編、芸術現代社、2004) 古本。B5版のトリビュート本。カバーの中央にまあるく穴の開いた、工作舎のような装丁。「はしれちょうとっきゅう」を交えた権代敦彦の名エッセイ「走れ湯浅譲二」はネット上でも読める。
  • Yuasa Joji による湯浅譲二展(郡山市立美術館、2007) 同年に生まれ故郷で開催された特別展の図録。CDなどは附属していないが、グラフィック記譜を多数収録。図録だけ入手しても空しく、訪れるべきであった。