自由次元ほか@KDJapon

三連休の最終日。お暇をもらって近鉄特急で名古屋へ、ケストナー点子ちゃんとアントン」を読みながら。こういう小説は日本からめっきり(陳腐な副詞)減ってしまった。さて鶴舞駅を降りていつもの本格四川料理店が定休日のためそのままKDJapon会場入り。1800/2000+500。最初の眼我真さんがいちいち「通算○番目の曲」と解説しながら飄々と弾き語り。店内にはお客が多い!ハードディスクレコーディングが進行中!地元では有名な方らしく突っ込みどころをフライングするお客も居り。Gコードだけで延々と歌う曲、《ボンボヤ》で延々と続く曲など身内ネタを通り越してアシッドめいていたが地元FM局(のパーソナリティのブログ)でも流れているらしい。当方、ココナツカレーで手が塞がって拍手できず。他に友人がいないのは肩身が狭くひとりテキーラ・サンライズキューバ・スクリューをのむ。次のバンド。男性が安定したリズムでエレキでリードし、女性Dsは主にツービートで技術的な面をカバーするためか素っ頓狂なVoも兼ねるが、元々リズムが揺れているから 不必要な一振りばかり耳につき、更にどの曲も同じような構成でブレイクとリタルダンドが多用されるために流れがつかめない。しかし男女デュオでGt+Dsというユニットは東京ではヒップなのであろう、最後に予想されたMC「円盤に置かせてもらってます」を聞いた。
アコギのピックアップがうまくアンプに拾えず時間を圧して自由次元。今宵は栗山純+安田久士+十三のトリオ。いきなりマス・プロジェクション(高柳昌行)と見間違うインプロから始まる。十三のDsはスティックとマレットを持ち替えて安田Bsとともにうねりをつくる。無駄がない。続いて栗山の幽玄なヴォーカリゼイションへ。日本の古い歌謡(歌謡曲でなく)のように聞こえる、形容しがたい、敢えて繰り返せば《like early Fushitsusha》(河端一)となろうが、いったいどういうバックグラウンドからこのかたちへたどり着いたのか。今年1月がジュリーカバー+セッションだったので、このような自由次元は当方にとって昨年7月以来久々。ここまでかなり暗い照明でファインダには彩色されたアコギだけが鈍く光っている。自由次元はビデオに限る、という発想は決してイロモノとしてみているわけではないけれども今宵の演奏は圧巻で、これならMR-1も持参すればよかったとも思う、ほとんどビデオ撮りも無意味かと思えるが、立てかけてあるこれもサイケペインティングされたストラトキャスターのアームを外してアコギでスライドさせる奏法など収められたし、やはり栗山のステージ姿は目が離せない。すると最後の一曲は幾分会場の照度を上げ、エレキに持ち替えての《お約束》、だがこれも崩れ壊れることよりも演奏そのものが美しく、KDJaponの階上を経由したランニング(二周!)を添えた切ないもの。10PMジャストに終演。もしスタジオ録音が遅れるのならば今宵のライヴ音源でアルバムとしてほしい。