富士登山を終えて

原將人の歌声が頭に鳴り響く。息子と二人で旅をするとき(ほんとうは団体で向かったのだが)二人で何かに挑戦するとき、それは映画「百代の過客」がオーバーラップしていくから(ほんとうは頭に鳴り響く歌はその挿入歌ではなく「はつくにしらすめらみこと」であったりして)。とはいえ「はつくに〜」でさえも繰り返し「父よ」と歌っているではないか。原将人の作品は《父子》関係で一気に語ることができるかもしれない。「MITARI」の最新ヴァージョンでは遂に鼓卯くんが演奏で参加したそうじゃないか。「百代の過客」は息子がこれから生まれるという時期に観た。冒頭シーン、別居していた父子が一台の車の中で、これから続くであろう旅の時間を思いを馳せ、スローシャッター溢れる映像の中で、まず先に気遣いをみせたのが息子のほうだったという場面に遭遇し、父親になることなんてそんなに突っ張る必要もないか、と妙な安堵感に襲われて観進めた映画だった。