玉栄政昭バンド@アルハンブラ

12時で仕事を切り上げて近鉄名鉄中部国際空港入り。離陸30分前に到着。さて那覇空港に着いたらどう動くか、毎度迷うところ。渋滞を避けるためにゆいレールでターミナルまで向かい、大山経由に乗り換えようかなどと考えながら一応、空港のバス停をチェックしたらいいタイミングで高速バスがやってきたのでさっさと乗車。僅かな追加運賃で乗り換えがなく6時前に沖縄南ICに着く。なかなか捕まらなかったがタクシーで胡屋十字路へ向かう。全貌を現したミュージックタウンを初めて目の当たりにする。いやそれよりも歩道橋を失った胡屋交差点。スクランブル交差点の工事中であったが、果たして発明は必要の母となるのか。ちょうどロック協会の役員とおぼしき方々が完成間際の建物をバックに取材を受けていた。腕を組んで、堂々のポーズで。さて単身でコザへ来たときの宿はリーズナブルなみどり荘、2000円+クーラー500円。すぐさま中の町方面へ向かう。想い出の中華店は7時開店だったので代わりに近くの食堂でゴーヤーチャンプルー。とにかく前回の《失敗》をふせぐためにアルコール摂取は控える。地元スーパーで98円のさんぴん茶を購入後、7時近くに会場前に到着。
アルハンブラは3年ぶり、幻の台風公演から10周年記念。受付脇に物販コーナーが備えられつつ、そこには果たして新作が置かれていた。昨年に続いてJTBおきなわウィーク2007の一環として、開場前からスタッフが数名、屋外で連絡しあっている。ただし今回のチケット、フライヤーなどすべて玉栄さんが自ら製作したということなので少々事情が異なるようであるが、ライヴの趣向は昨年と同様、玉栄さんのオリジナル曲を自演Voにこだわらず、二人の若い歌姫Noriko&Yu-koに歌を取らせ、バンドの平均年齢が下がったかと思いきや盛り立てるのは既におなじみ津嘉山善栄Ds、西川勲Bsそして玉栄政昭P&Voトリオ。8時過ぎ開演、Norikoさんは昨年、国立劇場でも活躍。ただ歌い手が3名から2名に減ったこともあり、コーラスでは玉栄さんが加わりハイトーンを聞かせてくれる(なかなか聴けない、レア)。半ばから新作「爬竜月'07」からの選曲が増える。「テンポも難しい」と前置きしたうえで「ただあなたが」、字余りのシンコペーションだらけのことばを歌う困難さにもかかわらず親しみやすい曲――玉栄さんらしい曲だということなのだが――途中Dsが軽快に16ビートになり、玉栄さんのピアノ・ソロを堪能、70年代フュージョンの香りも。このところホールでのライヴが続いていたので至近距離でみる演奏は迫力がある。この曲は打ち込みよりもスリリングな展開を肌で感じた。「うん、んでぃ言りよ」は「かまぼこ〜」に似たミドルテンポ。そして新作冒頭に収められた「Seasons」、玉栄さんの基本、四季の移り変わりを描写していく歌詞はいつぞやの劇団を思い出す。最初じっくりとユニゾンで歌われ、途中よりハモって盛り上がりファルセットで締める、というつくりはソフトロック的。「キジムナー」はわらべうたのようにシンプルな唄、だが幾番まであるのか「みんなのうた」の如く5分枠には収まらない大作で今宵のハイライトであったか、玉栄さんも唯一、MC長めに。アンコールで歌われた「廻って来いよ」は「あったんぐゎー〜」に似たノヴェルティソング〜テクノポップ?路線。《はいひゃーぐゎー》《あいひゃーぐゎー》の掛けあいがヤッホー振り付け付きで楽しい。結局、新作から玉栄さんがVoをとる作品を除いて全曲披露した。初演に居合わせられること、しかも盤とは異なって、ジャズ編成のコンボでのライヴ、しかも今宵のための編曲で聴くことのできる幸福。フロアのテーブル席はほぼ埋められた。JTBのお客も居られたがどうも地元のお客も多い。持参のDAT&マイクをどこに置こうかと迷った挙句、止むに止まれずテーブルの上に置かせてもらう。RODE NT4の沖縄デビューなわけだが感度がよすぎて会場の雰囲気が優先してしまった。私は中村とうようでも竹中労でもないから「もっと私語を!」と主張する人間ではないしできれば音楽を鑑賞してほしいと願ってしまうがそれはないちゃーのエゴ、いや当方の個人的な流儀に過ぎないのだろう。しかし皆、玉栄さんの音楽を聴いていたのかな。再度のアンコールでカチャーシーにて約一時間半のライヴが終了し、しばし会場に居残る。私は大量のプリン体を摂取。結局、松田弘二さんのギター演奏も2ステージ終了まで。松田さんのギターは最初、ユパンキのライヴ盤を流しているのかと思ったほど鋭かった。途中からラテン歌謡へ変わっていったが。さてアルハンブラにお世話になって後にしたが、コザへ宿泊する大きな目的である夜更かしのための店が見当たらぬ。あてにしていたオ・ペイシの荒れ果てた姿にことばを失う(註:帰宅後、サンパウロ店で元気にされているのを確認できた)。恒例のお店も開店しておらず、交差点近くのカフェバーのような店もシャッターを下ろし始めた。コザ泊では痛恨の、2時就寝。

  • 玉栄政昭バンド 爬竜月'07(東方スタジオ)ジャケは意表をつく勝連半島の航空写真。昨年のライヴとCDとの関係と等しく、CDはバンド名義ながら打ち込み。

セットリスト

  1. IKAWU
  2. 仲順流り〜あやぐ〜久高万寿主
  3. 思鶴
  4. 長い髪をなびかせて
  5. 月眺みぬ一番上手
  6. かまぼこが売れますように
  7. ただあなたが
  8. うん、んでぃ言りよ
  9. なーくにー〜かいされー
  10. SEASONS
  11. ボタンと希望
  12. キジムナー
  13. 我が島
  14. 廻って来いよ(アンコール)
  15. カチャーシー)(アンコール)