玉栄政昭バンド@国立劇場おきなわ
仕事を早退し、近鉄〜名鉄にて中部国際空港へ。携帯を使うようになったのでANAのスマートeチェックインやらスマートeピックアップやら利用する。便利というより人員減らしの流れに過ぎず。エアニッポンの小型飛行機、横6人掛け。晴れた那覇空港。まだ時間があるのでいーやーぐゎーに電話するとツカサ先生がすぐに出られた。バスターミナルまで移動、そこから31番(泡瀬西線)などに乗り換え神原で下車すればいいのだが結局タクシーで向かう。きょうは6月23日、慰霊の日で市内の交通量は少ないほうだとタクシーの運転手。まるみかなーと同じ井出達にてツカサ先生が居られた。昼間(4PM)ちゃんと開店しています。この時間から呑み始めると後が心配で生ビールを控え、焼けたばかりのパッションフルーツケーキとコーヒーセットをいただく。パッションフルーツからジュースをつくるのは手間がかかる話。それよりも「ばん」の総集編が間近の企画というので、ツカサ先生の新稿を収録するよう要望する。前述の31番に乗れば勢理客までたどり着けたのに気づかなかった。国際通りあたりのバス停を目指して歩く。ゆいレール高架下を歩く。暑さが心地よく、汗だくに。勢理客から海岸方向へ徒歩10分、ポールに日の丸の旗ひらめく庭付きの大きな建造物が国立劇場おきなわ。その小劇場が目的地。
「おきなわ夢の邦」企画のうち「りんけんバンド“照屋林賢”プロデュース魂の語らい〜沖縄音楽の現在と未来」第5夜。JTB協定旅館ホテル連盟とJTB沖縄が主催で、JTBの沖縄ツアーの客のみ対象としたライヴである。玉栄政昭を選んだところにプロデューサーの思いがそこはかとなく表れている。さて数多くのスタッフが受付に並び席まで案内される。上演に先立って通り一遍であろう「ビデオ撮影やカメラなど」控えるようアナウンスがあり、沖縄では珍しいことだが身銭をきったライヴではないのでセッティングを終えたビデオとカメラ撮影を差し控える。とはいえ255席の小ホールながら音響、照明とも充実しており、スタッフの手によるビデオカメラがいくつかまわっていたのでソフト化されることを希望する。18時30分開演。
オープニングが「行かうー」。4月にお披露目となった四半世紀前のオリジナル・レコーディング・メンバーによる再演の再演。ピアノソロが柔らかく、ダブルベースの音がよく伸びる。基本的にこのトリオがバッキングを受け持つ。4月と異なり、玉栄さんは自作自演にこだわらずフロントに3人娘を配して歌わせる。3年前のきむたかホールと似て。この「3人娘」とは今宵のために結成されたにちがいない、お弟子さんの女性2名と琴の先生から成る。この3名の歌唱による「長い髪をなびかせて」、シンセを代用したユニゾン・コーラスが当方にはまぶしい。玉栄さんにとっての原体験であろう八重山について長めのトークもあり、玉栄さんにはめずらしく断定口調で「旅はするべき」と。「長い髪を〜」の歌詞をだぶらせると感慨深い。自作曲の間にエイサー&島唄コーナーを挟む。そのエイサーとは上記男性軍がお色直しでいったん退場、再登場すると3名はまるで初期りんけんバンドのように色違いの衣装を羽織っている。大太鼓は使用せず、津嘉山善栄Dsがリズム隊をすべて受け持ち、西川勲Bsにいたってはパーランクに持ち替えマイクに向かって「スリサッサー」。「御天見上ぎりば」のインストのスリリングさはまるでミッキー吉野か大野雄二かもしれない。フィナーレがカチャーシーかと思いきや超名作カセット『銀河91』から「月眺みぬ一番上手」、これを生で聴くのは初めてではないか、フロント3人が即興だろう、互いに自らの振り付けを競い合う。決して洗練されていないがこの歌の魅力が溢れんばかりのステージ、当方は大笑い、まるで初期りんけんバンドのように…。今宵の客が観光を主眼としているには違いなく、ともすれば今日の「沖縄」を背負う準備もありうるのに、玉栄バンドは淡々とパーソナルな視点からステージを続ける。パーソナルなものの先にどれだけの普遍性(伝統)があるか、90分間、当方は酔いしれた。以下、セットリスト。
- 行かうー
- 思鶴
- 海のそばのオジー
- HEROも海に向かって泣く
- 長い髪をなびかせて
- 仲順流り
- あやぐ
- 久高万寿主
- 安里屋節
- 伊佐ヘイヨー〜でんさー節
- (古典)
- ぼたんと希望
- おかみさん一答一答
- かまぼこが売れますように
- 御天見上ぎりば
- 月眺みぬ一番上手
- 我が島(アンコール)