a qui avec Gabriel + 河端一 @ スミス記念堂

車で、法定速度を遵守して。水口バイパスは10月に無料となっていた。11月最後の週末ゆえ湖東三山に紅葉目当てのマイカーが多いのではという予想は裏切られ、順調に到着。2000円。スミス記念堂に入れば、既にギターPAは中央後方にほぼ上方を向けて寝かされており、これに対し、a qui avec Gabriel用のPAは左前方と右後方に大きく離れて置かれていた。ハウリングをなくす方策とはいえ、これではリスナーとしておちつかないだろうということでアコーディオンPAは前方に、ただし演者の前方にPAがセットされた。このような調整もまた一発勝負である。灯りをつけるかどうかスタッフの方が迷う、そんな穏やかな午後のひとときに、まずはアコーディオン・ソロが堂内に澄みわたる。二十数分、ここでわずかに休憩を入れたところがよかった。なぜならこの後に始まる音を心して体験するきっかけとなったから。とりわけ後半、無駄のない、次第大音量のa qui avec Gabrielを体験するのもお初だが必然的流れ。一回性という気負いとは無縁な、パーソナルな音の果てに広がる普遍な響きである。演奏が終わって我に返るまで、夕闇が迫っていることに気づかなかった。堂内の灯りが陽光と入れ替わる時刻。今回、a qui avec Gabrielの関西ツアーはそもそもスミス記念堂の公演がスタートだった。遠征の通例に違わず、その前後にもブッキングをこしらえていくことに。すると神戸や大阪、名古屋でそれぞれa qui avec Gabrielの演奏じたい接することができてしまう。これでは当初の企画、スミス記念堂がそれらに囲まれ埋もれてしまいやしないかという危惧は大きなお世話であった。Helluva Loungeが、アコーディオン河端一のギタードローンが初めてミックスされた記念すべきライヴとすれば、結果として、本日がスミス記念堂のハイライトとは申せないか。いや当方、2002年に初めて「出会った」河端一にも匹敵する音に思えた。帰路を急ぎ、初めて彦根インターより名神に入る。慣れない夜の高速は八日市インターまで、これでも数十分の節約になったはず。

  • Makoto Kawabata - 8: Shruti Box Drone