アーリータイムズ・ストリングス・バンド@Tokuzo

3500円、当日4000円であったが前売と同額に修正されていたようだ。温泉卵付海苔ボナーラ?、ウコンのロック×2。フロアの平均年齢は当方より僅かに高めではないか。ネットを探ればアーリー〜のライヴに幾度も出かけた、というツワモノもいないわけではないが、基本的にはメンバー個々の熱烈なファン集まっているように思われる。終盤のメンバー紹介できれいに分かれて。ならばまたしても「昔の名前で…」のノリであろうか。かく申す当方、渡辺勝目当てでやってきたわけだが、そうだとしても決して事情に精通しているわけでなく、たとえば「ラストショウ」と言われて思い出せるのは桃井かおりのファーストのクレジットだけ、てな按配なのだが。しかしながら実際の演奏を聴きながらそう簡単には結論づけられなかった。アーリー〜が名古屋で揃うのは初めてのこと。当時、シングル盤一枚を残したのみ、大ヒットというわけではなく(そうであったかもしれないですが)となればその希少性が幸いして、しかもマニアに走ることもなく、現在進行形の演奏であることが許されよう。「吉祥寺の空気」などと規定されても、演者がどう言おうが解釈は聴き手の自由。竹田さんのボーカルも正直言って上手くはない。しかし。たとえば、テレビでなつかしのメロディへブランクの開いた歌手が登場したものの声が全然出ない事態…とは異なって、まるで初レコーディングのように新鮮に聞かせてしまう。メンバー全員がボーカルをとり、しかもドラムレスという編成も個々のメンバーどうしの、繋がりの強度に興味がいってしまい、ありきたりのバンド神話に流されることから逃れられている(だからBsの人による「夜汽車のブルース」のノリが他のメンバーと違うのは当然で単にノリノリだからというわけではない)。ふとマキーラドーラのことを思い出した。さてここでも渡辺勝が異彩を放っていて、アシッド・マザーズ「Dark Stars in The dazzling Sky」もかくやと思わせるほどにarabicな「昼間から夢のようさ」のギター・カッティングとヴォーカル。
この日のライヴ直前、マrecordsよりCDRが送付され、そこには果たして今年1月KDJaponでのライヴ音源も含まれていた。そもそもアーリータイムズ・ストリングス・バンドの「Vol.1」もまた渡辺勝による編集ではなかったか(Too Late Recordというレーベル名であったとか)。「ライヴ77」もそうであるが、private録音を軽視しない態度が一貫しているのか、それともライヴでしか残されない運命にある「偶然に残った音」への偏愛なのかどうか、興味深いところである。