知名定男「うたまーい」@大阪能楽会館

大阪能楽会館を探してJR環状線の高架下をうろつく。前売5000円。NHKアーカイブスで「グッナイ・マイハニー」を聴いたときの高揚感の只中で前売券を購入してしまったのだがなんのことはない、全席自由、日にちが過ぎ、その高揚感もしぼんだところで当日となった。このような会場に踏み入れるのはお初なのだが、館内に置かれたフライヤーによれば古謝美佐子ほか沖縄モノではしばしば利用されているようだ。いわゆる能舞台、である。屋内なのに屋根のついた舞台、松の屏風画をバックにした格調高いその四角の舞台の2辺を囲むように座席が並んでいる。ソロ・ステージとはいえ知名定照(琴)に加えてNHK趣味悠々でも出演されていた鳩間可奈子と吉田康子がバッキング。女性軍の快濶な振舞いは好ましく、大島紬姿の可奈子さんが渡り廊下(橋掛?)を駆け足で、とか観ていてほほえましかった。可奈子さんといえばデビューが高校生、一度だけ、いまはなきコザのModsの客席で体育のジャージ姿でいたところを握手した思い出あり、あれから10年は過ぎた。客席には大島保克の姿もみかけた。肝心のライヴはといえば正直に申せば物足りなかった。かつていまはなきバナナホールの3デイズ。当方そのうちの一日しかお伺いできなかったが「ジントヨーワルツ」を含む感動のステージだったのを覚えている(そのときのMCで「中野律紀のプロデュースをするかも」と喝采を浴びていたと記憶するがお流れになったのか)。そのときと比べてどうか、一概に申せないが、別の風土でワールドミュージックを演出するときの通例に洩れず、パッケージ化されショーケース化されていた。ただし客の中にも何としてもカチャーシーを踊らねばという悪ノリする者も不在であったように思われる。それでもわざわざ現地へ赴くことを思えば大阪で体験できる機会を感謝せねばならない、というのが通例の心構えであるわけだが、そうはいっても無理をしても2年前、コザへ行くべきだったか。9時前の終演だったので余裕で帰宅。地下鉄で上本町まで。