キム・ドゥス@なんや

なぜにコリアン・フォーク・シンガーか。ひとえにモダ〜ンミュージック経由で紹介されたことに尽きる。いやその情報以外で知ることは目下のところ困難ではなかったか。東京でのタイバンは川口雅巳朝生愛、シェシズ…とジャパニーズ・サイケデリック路線で占められる。そういえば「International Sad Hits, Vol. 1: Altaic Language Group」というオムニバス盤に三上寛友川かずきとともに収められ、英語圏でもそんな扱いだ。かりに店長がディノ・バレンテやニック・ドレイクを引き合いに出して紹介したとしてもそれはひとつの切り口にすぎない。それだから聴こうという人もあれば、先入観を抱く人もあろう。まずはライヴへ、ということが可能であれば。で、この日もキム・ドゥスのライヴへ。2000円。同店の常連、韓国語のできるご婦人たち、今宵のタイバンであるジョンのサンの集客、白人、と夫々の立場で狭い会場が埋め尽くされたのはよいことである。PAの有無という差があれば単純に比較できないが、至近距離ゆえ(あるいは当方が聴き慣れたためか)いくぶんエモーショナルな演奏と受け止めた。矢野さんの演奏も幾分フリーキーに。いやホッピーをのみながら、という状況がそう思わせたのか。なんやの構造上、階下の喧騒が入り込んでくるが、声に集中することは十分に可能。曲の流れはこの日のほうがよかった。