渡辺勝&松倉如子@K.D.Japon

開演が8PMと遅いことをチェックしていたので慌てずに(特急を使わずに)名古屋入り。いつもの四川料理店で豚肉と大根の細切炒め(大根が絶品、辛さもほどほど)、にんにく入りチャーハン、ヱビスビール。KDJaponへ。2000+500。泡盛×2。タイバンのない二人のワンマン。特に銘打ったライヴではないはずだったが、昨年夏のKDJaponでのライヴ盤「空き地にて」発売記念ライヴだと松倉さんよりアナウンスが聞かれる。この日のライヴは当方も録音していたが、新録が3曲も収録されているため休憩時間に求めた。進行は、渡辺勝の唄と渡辺勝をバックに歌う松倉如子がほぼ交互に。松倉さんは色とりどりのインディアン風ロングスカートにセータ。ミキサー席の脇にある白熱灯がピアノに向かう渡辺勝を逆光として美しく浮かび上がらせる。でいつものようにギターを演ろうと移動して松倉さんと並べば白熱灯もまたステージ全体を照らすよう向きを変える、これもまた交互に演出がなされ、ビデオを用意しなかったのが悔やまれたくらい。ただ渡辺勝が単独で歌うときステージでちょこんと木椅子に座って渡辺の唄を聴いて待っている松倉さんがさびしそうにみえた、そんなわけないが。今宵の渡辺勝は重厚な曲ばかり披露した。「truth」「窓の外は」など。当方にとって思いがけなかったのはガット・ギターで歌われた「君をウーと呼ぶ」。四拍子(こころは八六?)で始まり途中ワルツへ移るのだが、とちぎポップ資料館関係者のいうところの“完全版”を生で聴いたのは当方初めてだった。渡辺勝のピアノはもとより、かなりゆっくりしたギターのストロークでもリズムがしっかりしていて、サンバのような、どこか複雑なリズムも含まれていて、ともあれフォークではないのである。最後に二人の共演、これはソロと区別してユニットとしたい、仮の名で「マとマ」なのだと。松倉はアンコールにて「明るい曲を」とリクエストして「ベアトリ姐ちゃん」で終わった。「祭りの夜」で終わってもよかったがその曲のもつ悲しさが強調されたかもしれないから。松倉さんは集客についてコメントしていて半ばジョークだと思われるけれども、このように充実した時間が流れたライヴでは客の一人として(オルガナイザーではないのだけれど)名古屋を訪れてくれたこと、ハコが設定されたことに感謝するばかりである。終演は10時手前。JR鶴舞駅の北口は10PMでシャッターが下りてしまうのだがまさに閉じ終えようとしている北口前を通り過ぎて南口よりJRに乗った。帰りの近鉄特急でもチューハイをのんだ。

  • 渡辺勝 - “空き地”にて(マrecords,CDR)