MRIを鑑賞する

MRI検査を受ける。20分程度。横たわると半ば強引に無造作にヘッドフォンをかぶせられる。この音楽は?「まちぶせ」だったか、J-POP風にカバーしたもの。不安を軽減するためというならばアウシュビッツで流れるような音楽を想定しているのか、もう少し吟味されてしかるべきなのに、こんな中途半端な音楽は要らないからいっそのことダイレクトに雑音を体験したいのに。これは「耳で聞く」というよりも骨で聞く音、しかも内耳ではなく全身の骨の振動が内耳に伝わってくる割合が大きいのではないか。エレベータのコントロール室(関係者以外立入禁止)に居合わせたような、インダストリアルという言葉を久々に思い出す、それでいてゆるりとしたリズム。ヴィンテージ・シンセならぬヴィンテージ・ノイズ。ヴィンテージものだけが持つ懐かしさ。波の音、とか、虫の音、などとは異なり、本来、人工的に造りだされた産物ながら不必要なものが(多少とも軽減されているとはいえ)ほどほどの大音量で心地よく聞けるのは偶然とはいえ不思議なこと。ただ一点、体を揺すって聴くことが禁止されていることが苦痛。おそらく測定部位により必然的に音は変化するはず。次回の際にはヘッドフォンだけは辞退したい。