河端一Kawabata Makoto@TERRAZZO15周年記念

名古屋駅付近、セントラルタワーほか高層ビルの夜景を仰ぎながら地上を歩きます。それらに比べれば見栄えなくなったとはいえ一時代を築いた国際センターを目標に進み、ローソンファミリーマートまでやってきます。すると突然にタイムスリップ、一直線の異次元空間が出現します。円頓寺商店街です。名古屋駅から徒歩15分ほど、こんなに近いとは知りませんでした。どうみても次元のねじれが生じています。あらためて昼間訪れてみたい場所です。そのメインストリートから外れた路地裏にあるのがROCKBAR TERRAZZOです。早く着きすぎて河端さんのリハ中でした。1000円。なんだかんだでお初、正面カウンター奥には自由次元のライヴ盤のジャケ写真の元となった壁画がお出迎えです、ほか栗山純さんの好みのアイテムが所狭しと納まっています。向かって左奥がステージ(らしき狭いスペース)右手にカウンターが伸びています。二桁のお客が並ぶのには窮屈な長さの、その突き当たりの床にも小型のアンプが斜め上方に向けて置かれています。真空管のよい音だそうです。細長い店内を左右から鳴らそうとする試みです。さて2週連続となる河端一ソロ。狭いステージの照明が落とされると、ネオンの仏陀?が輝きます。その前方の狭いスペースで演者はel-gtを立ててゆっくりと弓弾きをはじめます。じっくり、じっくりとその深さを確かめるようにボウイングが重なられて、深い、深い海の底のような響きが狭い空間を満たします。派手な展開では在りませんから少々カウンター席の私語を誘発します。ところが客席の私語ではなくPAに乗った《声》が聞こえてきます。栗山純さんがカウンターの中に座り込んで(周囲から姿を消して)絶妙の合いの手を入れているのです。例の幽玄な…という形容も陳腐ですが、ジェットマシーンのようなエフェクターがかかるのが手が混んでいます。しかも声が一人歩きせず、河端さんのギターと溶け合って響きます。河端×栗山の共演は日頃から待ち望んでいましたが、ギター対決とかバンド形式の共演ではなく、このような堂々たるサイケデリック音楽として現れるとは衝撃的でした。河端一とのコラボといえば、Richard Youngs、J.F. Pauvros、最近では坂本弘道など思い出しますがGt×Voiceというかたちはなかったのでは。栗山さん曰く、自らTerrazzoではほとんど演奏したことはないとのこと、まさに今宵かぎりのスペシャルな題目となりました。後半Pink Lady Lemonadeの旋律が奏でられますがそれもゴージャスな持続音に紛れていくほど音圧が上がります。そして一時間は越えない時間で終わりました。残念なことにわざわざ担いでいった(そして周囲の方々にも威圧感を与えたかもしれない)ビデオ操作をミスしサラウンド録音に失敗したことです。しかたがありません。しばし歓談後、仕事帰りのサラリーマンに紛れて名古屋駅を目指しました。