CDR「OLD TIMES BRASS BAND」

レア音源集。最初に知った情報はdisc union「渡辺勝フェア」の特典として、関連商品を2000円以上買うともらえるというものでした。対象商品はすべて所持していましたが通販の送料も1000円弱かかるだろうと覚悟していたら、この《おまけCDR》のみの販売もあり、と判明し飛びつきました。結局、昨日のライヴ会場でも販売されていたのですが…。全11曲、1973年のラジオエアチェックから2008年のスタジオ?録音まで、まるで引越しの際に偶然みつかったカセットの山からアトランダムに掘り出し物を聞いていくような感覚。冒頭、エレクトリックギターのフィードバック爆音から通して聴くと、渡辺勝を理解するとはすべてを聴かねばならぬ、という発想が間違っていないと思います。俺は、オレは、という持ち味ではないのですが当方には極めて重要なアーティストとなっています。ちなみに「40年くらい記念」ライヴではこの作品集が重要なレパートリーとなっていました。
 ところで上記CDRに収められた「春三月」では歌詞が変更されていました。その冒頭、オリジナルでは「春三月/あなたは消えた」。ところが、今年3月のこのライヴ録音では「春三月/あなたは去った」と。この表現だと去っていく《あなた》の人格(意志)が強すぎて、喪失の悲しみが薄れるように聞こえて仕方がないのです。いやオリジナルの一行こそ必殺の一行であってあまりに危険なため封印したのだ、と思えなくもない。そういえばこの曲をとちぎポップ資料館は《泉鏡花でいうたら『春晝』だろうか。うらうらとのどかにおそろしい》と解読されていました。同サイトの更新が滞っているのもさびしいです。