液晶絵画展@三重県立美術館

家庭の日に被さってしまう。思いがけず一般県民も多く来館した日に。友人Hくんと廻る機会を得て、せっかちな当方としてはかなりじっくり目を通すことができた。最終部屋、千住博《水の森》、65インチ液晶×8枚は圧巻、だがこの展示は美術館で出会うべきものなのか。亀山工場に見学者が集合するフロアが適しているのではないのか。もうひとつの65インチが、ブライアン・イーノBrian Enoの二つの作品、それぞれ2面ずつ計4面。音楽は《サーズデイ・アフタヌーンThursday Afternoon》。この作品は久々の再会となった、なぜなら拙宅の押入れにも眠っているのだから…1984年、SONY Beta Hifiを求めた頃、製品版の同作品を購入した。定価9800円あたりではなかったか。ブラウン管を縦型にしてみるようイーノの解説で指示されていた(アンビエントで擬似サラウンドの配線が指示されていたように)。素直な当方、下宿にあったテレビが14インチなのを幸いに簡単に90度回転させたのだが、するとハレーションを起こしたような画面になってしまうのだ。重力と関係があるのか、三原色の光の通り道がずれてしまうからなのか、液晶ならば訳でもないことを。ともあれ、この作品は、こうして、巨大液晶で、美術館で鑑賞することを目的としただろうか。作品の時間は82分なので、鑑賞部屋にはベンチも置かれていたが。もちろん中には明らかに美術館での陳列を前提にした作品もあり、共通しているのは微細な変化ということ。これが液晶アートか。ビデオアートといえばナム・ジュン・パイクNam June Paikというold schoolで育った?当方にはなじめないだけのことか。84年に戻れば、同時期に求めてしまったβ作品がナム・ジュン・パイク。当時、ハンディカムのうちフォーカスを2段階のみ、望遠機能も外した極めて簡素なカメラが発売されて、それを片手に嬉々として振り回す氏の姿をテレビで見たことがある。テクノロジーに振り回されるのではなく振り回すような氏の姿。しかしいま、行政=SHARP亀山工場の協賛あっての展覧会、そこがドメスティックなローカルな話であって、名古屋市美術館と違う点。