小野良子ほか@Tokuzo

わけあってあおなみ線名古屋駅入り。金城埠頭コミケがあったのか、車中には大きめのスポーツバッグを持ってそのような書籍を広げる若者を幾組かみかけた。だいたい二人連れなんだな。近鉄名古屋Tower Recordsへ。目的はロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの新譜を求めるため。店に入ったのは数年ぶり、目の前に広がる張り紙広告、ステッカーの多さに圧倒される。さて「R」棚を探すとそこにはファーストアルバムしか置いておらず店員に尋ねる。レギュラーの棚ではなく一押し復刻みたいなコーナーに並んでいたが思いがけないことばが続く「特典って特にありませんよ」。そもそもわざわざやってきたのは「タワーで買えばLP大のスリーヴがもらえる」という情報からだった。どうやら大都会の店だけのよう。せっかくだからとぐるり巡れば、いにしえのワールドミュージック・コーナーなど片隅に追いやられ、ラテン系もほとんどなし。バブル期の品揃えが異常だったのか。試聴コーナーなど目新しさもあるものの結局何も買わずにエレベータを降りる。夕刻、駅周辺のイルミネーションが最高潮、ブランド名入りの紙袋を下げたカップルもちらほら…どころではなく多いぞ。地下鉄で今池へ移動。今宵(距離の違いはあるが)Lucreziaどちらかにするか迷ったのだけれどTokuzoへ。2000円。既に食事を済ませていたのでウコン酎×3。開演間際、フロアを振り向けば…あれ?津山さんがいる。レコード祭りの帰りとか、一週間ぶりの再会である。25日の難波Bearsは「なにしろ万博やで」とのことで乞うご期待。
Ono Ryochestra[西本さゆり(vo)白木佐也加(vo)渓(g)臼井康浩(g)石垣篤友(b)粟野昌良(ds)小野良子(key,as)]。ここでの小野良子はキーボードに座ってほぼバンマスに徹しSaxは一曲のみ。変拍子必携の、ジャンルでいえば吉田達也プログレに近い、。当方、決してインプロ至上主義ではないが、先月のアコースティックでの、伸び伸びとしたものもまた魅力的であった。今回ソロ・パートも少しずつ設けられているが、音の出し合う間柄がまだまだ手探り、共同作業ゆえのおもしろさがある。
the ひゃくたたき。いちばん前のテーブルに座っていた若者が正面にドラムセットのみ時間をかけて設置し、ドラムソロ…と思いきやあれ、実質向かって左の一枚のシンバルと同期するノイズがメイン。ところで私はふと傍らに佇む津山篤のドラムのことを思い出した。初めて氏のドラミングを観たのは5年ほど昔、ここTokuzoでのZoffy「移民の歌」。Bsでは自由自在の氏がたどたどしいリズム、まるで大リーグボール養成ギプスを取り付けたよう、しかし貪欲さ・情熱はひしひしと感じられ、昨年であったか灰野敬二とのセッションを持ち出さなくとも今年の太陽公園の演奏へと結実していった。…ということを思い出していた。
金澤美也子+小野良子。今宵はほとんど小野良子吹きっぱなしなのだ。後に経歴を知ったものの当方のアンテナでは金澤美也子は全く存ぜず。髪の長い若き女性がキーボードの前に座ると山下洋輔ばりの手癖、噛み付くような表情で弾き、叫ぶ。それに小野良子がすかさず応酬、とはいえハチャメチャではなく筋の通ったブロウイング。アンコールがかかりこれもまたフロアの津山さんから御題(難題?)が投げかけられて、ああこうしてミュージシャンは成長していくのだなあと感慨深く思ったのは当方だけか。終演後、今宵のもうひとつ大事な、嬉しい用件、新譜の購入。

  • Ryoguy - ※2nd。8cmCDRと豆本が布製二つ折りのジャケに収められている。この布地も手製、ほんとうに手作り。Ryoguyとは小野良子+Guyさん。