NEW PICNIC@太陽公園・姫路

朝5時ころ強い雨足で目覚めた。二日酔い。モーニングセットを振舞っていただき、少々早めに出かけましょう、と出発。夕月さん宅の表玄関に掲げられた、今は無きお店の看板コレクションを後にする。とても静かな町並み。間近に昼間見る姫路城も初めて。山へ向かって北上。まるで小学生のころ大阪万博へ向かうような期待感。で遠くの山腹になにやら建造物を発見、そこが太陽公園の入り口、凱旋門であった。世界の名所を集約する、という万博的正統派の方法をとっているのが懐かしい所以だろうか。8時台だというのに既に駐車場はいっぱい。ふだんと12時間ずれている。このときスタッフでもある出演者の多くが会場入りしていた、らしい。というのは恥ずかしながら当方、お顔を知らないお方が多かったから。とくに大阪以西のアーティストはCDは所持していてもお姿まで判別できず。ただ皆若くて、当方などやはり「ちょい悪・不良中年」にちがいなかった。さて雨のために当初の4ステージが兵馬俑抗と凱旋門の2会場へ前日より変更されていた。会場への道程では薄日がもれたが糠喜び、やはり小雨いや霧雨が降っている。しかし持参したレインコートでは蒸し暑く、Tシャツ+透明傘で過ごす。事情を知らぬ客ならば不満も出ようが、老人施設に併設された場を借り、スポンサーを付け、よくぞ対応された、と思う。accident will happen。
まずはピカチュウ+DODDODOのおもてなしに遭遇する。《飯飯(はんはん)猫娘》というリフレインの中華風楽曲をバックにパジャマ姿の二人が朝起きて、まずお米を研いで炊飯器にセット・・・中盤、ピカチュウのスティックがステージ上のあらゆる物体に触れるたびに同期してDODDODOのサンプリング音が発せられて…こんな僅かな時間でご飯が炊けるはずも無いよ…とおもいきや、な〜んだ、別の炊飯器で既に炊きたてのご飯があって(昔の料理番組のノリ)、ピカチュウがおにぎりを握って最前列のお客に喰わせ〜《はんはん猫娘》にのせて退場…とこれではとても説明にならない。水でお清めをする儀式(観客にも)に感化されたからなのだが、あたかも日本古層の起源が公開されたかのような(外人だったらもっと圧倒されたにちがいない)。このような寸劇が成立しているのは、ひとえにピカチュウの踊りだ。しなやかな鋼のような体のひとつひとつの動きに見とれてしまう。ビデオカメラの電源に限りがあるので撮るのを控えてしまったのは大損失であった。
津山篤+道下慎介のおもてなし。道下さんがel-g、一方、津山さんは何をするのか見守れば、前に出演したバンドが片付けなかったDsセットに座る。流暢な《仏語》らしき言葉であいさつ後、フレンチ・ポップスのカバーをやります、と。なぜならばここは凱旋門の下だから。なるほど。わかりやすい。とはいえこの題目はスケジュールが変更された後で初めて決まったことになる。しかもスネアを叩こうとして空振り、スネアがないにもかかわらず演奏は始まってしまった。前もって入念に準備されたセットではないにもかかわらず=すべてがインプロ、ここまで見せ付けてしまうのは津山さんだ。たまたまドラム・スティックを握っただけの津山さんであった。最近、当方頻出のテーゼ、《津山篤にとってミュージシャンは世を忍ぶ仮の姿》が説得力を帯びる。凱旋門周囲には多分ライヴとは関係なく入場してきた家族連れの姿も足を止めて見入っている。
メインステージの開場がおして12AM開演だという。おそらく河端一とかぶってしまうだろうと思われていた、ゑでぃまぁこん他が急遽、凱旋門へ移動した。しかしこれは嬉しい誤算となった。ステージと客席の間を数m空けるよう椅子席が遠ざけられる。どうするというのか。すると向かって右方に和琴が置かれる。なるほどスペースを取るわけだ、だとしても果たして数mも空ける必要があろうか。2曲目、和琴に(次の出演を控えた)森山家の娘さんが配置につく。さて音楽が鳴り出すと…左方からするするっと鮮やかなスカイブルーの和服をまとった人影が中央スペースへ。日本舞踊との共演だった。これは全く不意を突かれて、素敵なおもてなしだった。 サトコ(花柳沐香) という踊り手はもともと姫路でお付き合いのある方とのことだが、コラボなどという言葉につきまとう野望とは無縁で、ただ慎ましく、美しく、気高い時間が流れた。はるばる姫路までやってきてここだけでしか観ることのできない瞬間だった。実はゑでぃまぁこんのライヴはほとんど観れていないのだが…この日のライヴですっかりヤラれてしまいました。この後、琴×2+尺八の森川家が続く。プリペアド琴みたいな弾き方と予定調和をくずす唱法。
さて当方にとってひとつのメインイヴェント。本来ならばピラミッド内限定7名の聴衆とともに爆音ドローンで自爆テロ、という手はずであったがなんと不発に終わり舞台は凱旋門へ。2台のギターアンプを左右に並べ、幾分上方へ向ける。後ろに道下慎介Dsが既に準備万端でソロに入っている。演奏直前、河端さんは「ドローンをやる雰囲気でもないやろ」と洩らしていたが、まず軽く爆音から例の「りん」に似た供え物を使ったループ〜歌もの〜終盤へ爆音ドローンへ。当方が逃した8月のBearsセットに近い流れではなかっただろうか。とはいえ私が聞いたのはギターというよりも野外のパイプオルガン、それに似た荘厳な音。凱旋門のドームに反響して、同じようなことをいえば、来年、こんなセットを観ることができるとは限らない。演奏が終わり(誰もがそうしたようだが)空を見上げると速い雲の流れと青空がみえた。屋外の河端ソロは初めての体験であった。わずかに後悔すれば、ビデオを撮るのならルポルタージュ風に動きまわったほうがよかったとか、マイクはもっと後方からエコーを多く録りたかったとかあるけれども贅沢な悩みだろう。
(このあと主にメインステージ-Acid Mothers Temple, Kiseki-に続くのだが一気に書けず、つづく。)
凱旋門を遠巻きするように出店があって、寿司、トルティーニャ(?違った?)、ナンなど。そして凱旋門内に店を開いたのが円盤。田口さんも自身の演奏以外には在駐。

  • はたあきお - 路面電車〜昭和の響き〜(円盤、DVDR)
  • 円盤MIX vol.26 沖縄の夜vol.6(円盤、CDR)