沖縄音楽総攬(の経済学)

  • 沖縄音楽総攬(上)(下)(日本コロムビア)16枚組、計12時間34分。1965年にLP16枚組として発売。もちろん初復刻なのだが、1993年に2枚組×2セットに抜粋され『甦る沖縄の歌ごえ』としてCD化されている。今回の復刻が届くまでの間、久々にそれらを聴き返す機会を持った。現在じぶんが民族音楽モードに入っていることもあるけれども、フィールドレコーディングがしっくりと耳になじむ、とはいえ本格的なステレオ録音で、2人の唄者がしっかり左右に振り分けられている、といった具合なのだが。《最低のやまとんちゅー》とかつて(そしていまでも?)呼ばれたことのある当方としてはこれ以上語るわけにはいかないが、沖縄音楽に関して自分がこれまで特定の人格を追い求める鑑賞であり続けた気もする。42年の歳月、録音された多くの唄者が故人となり、現在の沖縄音楽の隆盛を尻目に《失われたもの》への想いを寄せる。労働歌、わらべ唄、ほか生活の中の唄。ところで前回編集の際には収録が見送られて今回初めて収録された音源があるとのことだがそれがどれなのかわからない。とはいえLPも100セット程度だったということから些細なことになる。なお24800円×2セットは高額ではないかという向きもあろう。書籍の世界ならば図書館向けの仕様と受け止められよう。先に触れた『甦る沖縄の歌ごえ』でCD4枚にぎゅう詰めで10000円、時間にして約1/3を既に耳にしており、今回は残りの2/3、8時間弱のために支払うとすれば割高だ。しかし例えばラリーズのCD(-R)に数万円支払ったことと比べれば何らためらいはない。マザーグースレコードにて。