羽野昌二Hano Shoji+Peter Brotzmann@KDJapon

風邪の治りかけで名古屋へ。前売3000+500。KDJaponはリニューアルされていた。板張りの舞台が設置され短いながらも袖(そで)も一本つくられていた。その壁一面に銭湯を凌駕する巨大フジヤマが描かれていた。天井からお江戸のヤーポン桜が飾られて舞台の上には庇(ひさし)もつくられていた…すっかり演芸場の趣。なぜならば4月、ハポンフェスティバルとして「北斎とお栄」の連続公その演を控えているから。招聘は古田さん、今回、郵便でお知らせが届いており、ネット上の告知であふれた世界と無縁な、原点に出会った気持ちになっていた。
Flylineはエレクトリック・ギターのデュオ、Keiは舞台に位置するとして、臼井康浩はフジヤマをバックの袖に仁王立ち、とても目出度い図となった。インプロとなるとKeiは弾くことにこだわる。アルペジオからトレモロアームを弦へ引っ張ったりしながら、音の強弱にバラエティをもたせる。臼井のボディを抱えながら弦をひっかく奏法はおなじみ。約20分間、地元の外人Sax奏者を加えて10分。そういえば同じKDJaponにて以前この2名に小野良子を迎えたトリオ(せーのっで始まったやつ)のときのほうが二人のギタリストの関係がおもしろかったような気がした。
1年8ヶ月ぶりの羽野昌二。ドラムセットを準備する羽野さんが足を引きずっている。なんでもステージいや舞台から降りる際にひねったとのこと。という心配は杞憂に終わる演奏だったのだが。ステージいや舞台に二人。ノンPAペーター・ブロッツマンは一曲ごとに楽器を持ち替え、ノンPAにもかかわらず羽野のDsと良いバランスだ。一曲十数分で、ほぼ休憩なしで70分以上のセット。白熱の影響は必ずしも興奮ではない。酔いしれるとは意識狭窄ではなく覚醒をもたらす。私は立ち上がって観戦、とてもリラックスした時間が過ぎていった。羽野さんの流れるような捌(さば)き。無駄のない演奏の動き。年に1,2度はこんな時間を過ごしたい気持ち。物販のCDは既に手元にあり、Peter Brotzmannの限定LP購入を躊躇し早めに帰宅する。