ウタウタ、ウ vol.5 DECEMBER SONGS-師走風景-@Tokuzo

出張の移動途中に郵便局よりDVD-Rを沖縄とオーストラリアに送る。沖縄のほうは冊子小包扱いで済んだが後者はSAL便と特定しなかったため予定より倍以上かかっていたのに、いや重いからこんなものだろうとその場で払ってしまった、まあいい。仕事を終えて近鉄急行で名古屋入り。名古屋ウニタを素通りするはずがブルーノ・ムナーリの単行本を発見、購入。これは同社2冊目の翻訳だと後で知り驚く。こんなにも情報から遠ざかっていたのか。

KDJaponとカブって迷ったしそもそも当日名古屋へ行けるかどうかであったがTokuzoへ向かう。前日にメールをしたばかりだったので万一に備え名古屋シネマテークの会員証も用意したが予約が効いて2500円。ナスとホルモンの炒めビーフン(またしても辛いものを注文してしまう)、瓶ビール、ラム梅酒。
出演:蒼エルテル=渡辺勝、船戸博史、吉田悠樹二胡)、青木隼人、臼井康浩
ゲスト:松倉如子三村京子、西本さゆり
off noteの企画、今年のファイナル。6月の原田依幸と同様、舞台左手にアップライトピアノが置かれ、演者は斜め右奥に向かう。渡辺勝の長身がよくみえてよろしい。一曲弾き語りした以降、新しい女性ボーカリスト3名を紹介していく蒼エルテルとしてバッキングの役割が9時頃まで、全体の半分以上。松倉如子はとても若い(今宵の女性たち、いや最近のoff note企画の歌姫皆に当てはまる)、白いシャツにネクタイを巻いて、長い髪を上に丸く束ねて、戸惑うようでいて挑発的な眼差しで、ミュージカルの断章のように、渡辺勝との息の合うステージが印象的、と思いきやレコーディングも済ませていた。そのステージ中、フロア脇で待機していたのが三村京子。既に関西でのライヴも話題となっていた三村京子ではないか、とあらためて気づく。地味なカーディガン姿で椅子に座ってアコギをかかえた姿勢で、生死をテーマにシャンソン風の歌詞、後半、蒼エルテルをバックに従える。渡辺勝はリコーダも交え、バッキングに収まらない詩情をピアノで披露する。ただ彼女の歌世界に対しては全体として音が過剰にも思え(例えばボーカルのシャウトと楽団のシャウトが同期してしまう)もう少しまとまった時間もみたい。終演後CDRがないかぼそぼそと声をかけたがつれない返事であった。西本さゆりはEttの人だった。彼女はバンドで唄うことの喜びを率直に表していた。Maquiladoraの対バンでも聞き覚えのある曲がゴージャスに再現されていく。9時過ぎ渡辺勝の歌が始まり拍手が鳴ったから、そんな客が占めていたか、そうじゃない客はいないだろう。当方はどうか。少なくとも誰か歌姫一人だけのために訪れるのではないが。劇団40CARATのための楽曲。鬼気迫るピアノの連打とボーカル、思わずステージ近くへ歩み寄って携帯撮影。「東京」「アムステルダム」。決して大勢ではない客席だからアンコールもひやひやものだったが応えてくれた。終演後、神谷さんに「ディナーショーだった」と評したのも皮肉ではない、当方にとって贅沢な時間であったということ。集まるのがとびきり個性的な歌い手であるがそれだけではない、off note楽団が加わることで、異種格闘技戦の輝きに似て、それぞれの個性すら安住させない、更に深く彫りだされる機会。一方、そもそも個性的な歌姫が集まることで全体としてはショーケース的となる弱点もある。とはいえ、既になじんだ世界の再現を求める…そんな楽しみを敢えて損ねることなく、全く新しい音の世界にもいざなう、最近のoffnote企画。当方には世代格差を乗り越えるという難題にさえ向き合っているように思える。売っていたCDは全部持ってると思いきや、なかったのを一枚求める、いつリリースされたのか。帰りは近鉄特急で。