アリス閉鎖阻止、大決起集会@天王寺Alice

仕事を僅かに早く切り上げて伊賀神戸駅まで順調に車を走らせる。近鉄快速急行で鶴橋〜JR環状線天王寺まで。不思議の国のアリスは今月いっぱいで閉店する。ここを訪れるのは3度目、全てがまる福。&ミドリのイヴェントであった。1800+500。入場すると、フォークギターを持った若者がフロア中央で演奏しており、彼を取り囲むように客が集まっている。まだ早い段階の出演なのにただならぬ雰囲気。voのマイクを友人とおぼしき人物が手に持って手伝っている。Aliceならではではないのか。友部正人の甘ったれたところをパロディにしたような、延々と唄が続く曲。なぜならば、ひとフレーズごとに演者は目の前の客に挑みかかって歌っていたから。挑みすぎて、次の瞬間、反対に中央の柱にもたれかかって倒れるようにも歌う。そんな芸に対してさえ現在は相対化させてしまうのか、若い客の反応は少ない。本来ならば笑って囃し立てればよいはずなのに、開演前にほんとうに流れていたという「ウルトラビデ」収録の「嫌われ者」曲中♪裏目に出るのさ♪に返す笑いが好ましいのに。かく申す私も思わず拍手してしまったら「拍手はいらん、金投げてくれ」と返された。次の曲ではハードフォークで聞かせ、最後に脚立に登り、天井に近い高さからアジる。これもジャパニーズ・ラップにちがいない。前回、ここAliceで出会ったのがクリトリック・リスであったように、今回はこの疎外感幸子という歌い手(男性)に出会うことができた。
次のデュオ、和歌頭アキラ+ダイ(from赤犬)。
ミドリ。Aliceでのミドリは最初ベースレスのトリオ、次が4人組、そしてメンバーチェンジ後の4人組、と進化する姿をみてきた。途中、三上寛の対バンだった5月以来の今宵、後藤まり子のやせた姿に驚く。そうみてしまうからか、ダイヴ、倒れ込みなど以前よりも過激にもかかわらず捨て身にみえて(とてもビデオ撮りはできなかった…単なるオタクオヤジになってしまう…)、バックの演出もグイグイきているにもかかわらず、それらがアリスという場だとしても過剰でもあり空すべりしているような気がした。ミドリ、どこへいく。
ミドリ目当ての客が退いた後、トリがまる福。というのは愉快・痛快。まる福。もメンバーチェンジが行われていて、丸刈りの新Z井Bs、そしてティーンネージャー(ほんとう?)城戸Dsという如何わしい編成。「割れた鏡」「幸せのお終い」「四畳半」、そしてどんな大阪らしさにも萎縮することなく、いや天王寺だからこそ、アリスだからこそ、フクゾウさんは「フランキーの涙」でフロアを駆けて客一人一人に、スタッフ一人残さずマイクを向ける。だめフォークの一体感を越え、馴れ合いを越え、しらけさせる隙間を与えない演出はトリにふさわしい。もちろん懸垂も披露。途中、天野さんの友人(赤色102号の岩崎さん)がギターソロを披露したことで遥かにロックとなった。まる福。の場合、どの曲がどのように(上手に)演奏されるかが重要ではないのだが、まぶしい。もちろん「フランキー」の間でも天野さんは客の声がマイクに収まるタイミングにあわせてエコーマシーン?を駆使して場を撹乱していた。とはいえ「フランキーの涙」は既に「フランキーの涙」という固有の楽曲を越えてしまった。今宵、アリスが閉鎖しても惜しくない終演。ビデオ撮りしている自分はアホにちがいない。近鉄終電に間に合う。