夢の隊列2004・バタフライ・コレクターズ

開演から30分遅れで到着。余裕と思いきやK**さんから「待ってたんですよ」と擽られる。昨夜よりは客足ははやい。永山夫妻に一言だけあいさつ。今宵は右脇からステージに臨む座席へ前進。まず鈴木翁二。きょう沖縄に着いて明日10時に発つという。演奏する前に左手の甲に緑色と朱色の絵の具をたらし、自ら眼下と頬に左右対称に土俗の彩色を実演する。船戸博史とのデュオに始まり、渡辺勝らエミグラント状態まで。ほとんどぶっつけ本番のよう、鈴木の、刻々と波打つ唄のペースにバックは苦労しているよう。しかし鋭い眼光と強烈な語り口の歌い手とのコラボレーションは飽きることがなかった。それと独特のMC。昨年末、ぎゅう詰めの京都ライヴで初めてステージ上の人となりに出会ったのだが、誠実に、冷静に語りかけられているのに肩透かしを食らって手からこぼれていくユーモア感覚は変わらず。1時間以上、持ち時間を充分に楽しませてもらった。
8年ぶりのバタフライ・コレクターズ。一曲目、印象的なギターのアルペジオ奏法でいきなり「Hard Rain」、ふくよかな永山のベース(ひじゃとぅんむどぅい)が襲ってくる。ノスタルジアに浸る隙もなく二曲目「この風に吹かれて」。近くに細君も居られたから四十過ぎの当方、泣くことは堪えていた。永山のボーカルもまたパッションをいったん内に秘め、じっくりと吐き出す。gt,dsとも味わいは変わらないが、よりシンプルになっているように聞こえた。gtのチューニングが独特で聞き覚えがあった。「蒼い月が出ていました」が現メンバーで演奏されるのは初めて、ちょうど「陽だまり」に近い、プログレッシヴでダイナミックな演奏となる(このため「陽だまり」は外れる)。30分も経たないうちに終わってしまった。「場違いなところで」とアナウンスしていたが、そうではない。off note企画でバタフライ・コレクターズが演奏する、これが今回、来沖のきっかけであった(ボクノタメニキカクサレタニチガイナイ…)。8年前、まだ家族も最小限の人数で彼らのライヴを観た。この8年間、永山毅のソロ、メンバーチェンジを挟み、同じメンバーに戻ったのも感慨深い…と、そんな意味付けをしているのは自分だけだ。ときどきライヴは行われていたのだし、メンバーの変遷も個々の事情によるに過ぎない。新曲は披露されなかったが、次回ということか。
かしぶち哲郎ソロ〜+エミグラント。さて音楽ファンを自認する当方、かしぶちさんの生も初めてながらどうしてもムーンライダーズ系で唇寒しとなってしまう。隣席にはコアなファンなのだろう、どの曲にも即座に反応する若者たちがいて喝采を送っている。居たたまれず後方へ移動する。ご縁か、出会いか。ほんとうにかしぶちさん申し訳ないです。
そしてフィナーレは、エミグラントかしぶち哲郎Ds。やはり渡辺勝はエレクトリック・ギターを持ち立ち上がって唄う。勝さんのボーカルと川下さんのサックスが溶け合う。当方にとってGroove名物みたいなものなのだ、この演奏で作品が残るといいなと思う。唯一の問題点は「エミグラント」名義がお店でどのコーナーに置かれるのかというテクニカルな問題だが……。終演後またしても居残る。永山さんもわざわざ残ってくれて話をする。ちょうど家族構成も変わっていく世代。終演後、永山さんは言う、「このまえ40になった、この年でロックやるなんて馬鹿だと思っていた、でもやっている…」(文責mabuya)。
gachapinとも話をする。彼は売れっ子のミュージシャンでもある。

  • uncork A (CDR)
  • Escape From Demension - Plug & Pray (CDR)

鈴木翁ニの原画を求めたかったが所持金なく。図々しくも全員撮影に割りこむ。ぶっ飛ばすタクシーでエッカアネックスへ帰って5時過ぎ。予定より一本早い便に乗る。