飯吉馨とアルファ・サウンド

  • 飯吉馨とザ・ウィップ - ソウル・トリッパー日本コロムビア)今春、9枚まとめて復刻されたレディメイドのコロムビア100年の一枚ですが、アルファ・サウンドの名盤だとは最近まで気がつきませんでした。《彼の数少ないリーダー作で、プレイヤーとしてだけでなく、作編曲家としての資質が横溢した意欲作。赤い鳥やガロの諸作で奏でられた瑞々しいピアノ・タッチは、同作収録の「花はどこへいった」の演奏に顕著に表れており、アルバム全編を通して初期アルファ・サウンドを彩ったあの繊細な音色が楽しめる》(濱田高志の解説より)。ブラインドで聞けば「ソフトロック・ドライヴィン・アルファ編」に収められた石川晶の2曲、村井邦彦自作自演のゼロックスCM曲のパロディではないかと聞き間違うほど、pianoとel-bsのコンビネーションがスリリングで美しい作品集です。el-orgとac-gtの対比も美しいです。タイトル曲のみ「Midnight Tokyo」で紹介されたためDJユースのイメージがありましたがそんなことはなく、休日の朝、「ソフトロック・ドライヴィン」の続きとして楽しむことができます。こんなに品の良い(売れ線ではない)レコードが大手から出されていた時代を偲びます。ちなみに飯吉馨はガロの「美しすぎて」の美しすぎるシングル・バージョンの編曲者です。