愛のスカイライン

  • SKYLINE 50th Anniversary CD(WSP)がカーステレオに入れっぱなしになっている。ソフトロック・ドライヴィンとしては冒頭の数曲のみだが、後半の連続した「ケンとメリー」は75年あたりまで、ちゃんと毎年異なったヴァージョンが使用されていたものが収められていて飽きることがない。また実際にCFとして使用されたという理由からディープパープル、ヴァン・ヘイレン、ステッペンウルフほか堂々たる洋楽も混ぜこぜに収められている。本CDの発売元はワーナーだがRhino印によって可能となった、正規収録、正規リマスター物である。その洋楽の一曲「I'm not in love」がヘヴィローテーションだ。CFに使用されたのは後年だがヒットチャートに昇ったのは75年。日産の新聞広告のプレゼントに応募してケンとメリーのステッカーを入手、通学鞄に貼り付けていた頃のこと。自身の音楽ソースとしては、みのみのもんたの「オールジャパンポップ20」(SBS放送)から石田豊の「リクエストアワー」(NHKFM)に移っていった時期、それでも聴くのはモノーラル(濱田滋郎)のSONYラジカセだった。せいぜい中波AM並みの音質でしか記憶になかった曲をリマスター(リミックス?)されてCDで聴くと別物のように聴こえることもある。平凡なカーステからでもこれほどHi-Fiに「I'm not in love」を聴くのは衝撃の体験だった。ループされたコーラスが後方から迫ってくる。いったん主題が歌われた後にテンポが落ち、ベースとささやきの幻想的なソロパートに移る。この中の《big boy don't cry》の反復が特に馴染み深いのは同年アメリカのヒットチャートに昇った「ミスター・ジョーズ」という曲、当時のヒット曲の一節をわずか数秒のみ引用する冗談音楽のひとつだった。ほかに取り上げられたのは「ラインストン・カウボーイ」(グレン・キャンベル)「プリーズMrプリーズ」(オリビア・ニュートン・ジョン)「ゲットダウン・トゥナイト」(KC&ザ・サンシャイン・バンド)「愛ある限り」(キャプテン&テニール)「呪われた夜」(イーグルス)「ハッスル」(ヴァン・マッコイ)「ミッドナイト・ブルー」(メリサ・マンチェスター)「ジャイブ・トーキン」(ビージーズ)といったところ。ちなみに「愛ある限り」の原題は「Love will keep us together」で、Joy Division「Love will tear us apart」の対義語であると気づいたのは遥か後のこと。