三上寛スペシャルユニット@Tokuzo

mabuya2006-09-01

Tokuzo開店8周年記念ライヴ、3300円。テーブルの並ぶフロアが満席。瓶ビール、夏野菜入りカレー味ビーフン、得三ではいつもビーフンを注文してしまう。録音の承諾を主催の森田さんにいただこうとしたらそれは僕じゃなくてミュージシャンにと、と店員さんが楽屋の大友良英にわざわざ訊きに出向いてくれる…この展開では…案の定「見合わせてほしい」というので断念。スタッフがライン録りしているのでリリースされるのではないだろうか……そういう出来栄えだった。スペシャルユニットとは三上寛Mikami Kan、船戸博史Funato Hiroshi、大友良英Ohtomo Yoshihide、森山威男Moriyama Takeo。30分ほど押してスタート、森山威男は向かって左端、唄を包み込むように。MCで三上は30年ぶりの共演というが、先日this is it!でみせた当時の名曲の再演ではなく、最近作をレパートリーとしたのは大正解、いや当然そうなのだろうが。右端、多くの聴衆のお目当てだろう大友良英もel-g、ずっと三上寛のほうに視線を送り続けて唄とのバランスを図りながら、磁石を使ったフィードバックあるいはドローン、短いソロ弾きを組み合わせる。開演いきなり弦が切れたのか第一部では控えめに感じられた。中央後方に位置するウッドベース、船戸博史が思いがけず(失礼)光っていた。弾きまくり、エフェクタ、プリペアード…こういったイノベーター的方法が大友とも重なる。それでいて基底音を作るわけだから大活躍といっていい。いつもながら船戸の表情が涼しい。長めの休憩の後、第二部、森山はタムタムの使用がより即興を増す、なんでも初見(初聴)の曲が出始めたという、しかし過剰に反応して流されることなくずしりとくる。大友はいよいよフィードバック全開、弾きまくり全開で応酬。アンコールは三上寛のソロ。前のテーブルだとこういった音よりも個性的4人を見るだけでも情報量が多すぎた。終演後、しばしテーブルに加わらせていただきウコン酎2杯。これは店主の森田さんが一年以上前からあたためていた企画という。秋には友川カズキとジョイントで欧州ツアーだという。
唄に即興が絡むスタイルはラリーズにさかのぼるかもしれないが、近代では「平成元年ライヴ」に端を発するのではないか。その作品の広告1/2ページをミュージックマガジン誌でみかけた90年当時、正直ぴんと来なかった。「吉沢元治」は存ぜず「三上寛」「灰野敬二」という名前からもまだやっていたのか程度の、自分とは関係のない世界に感じられ次のページをめくったのだった。しかしその音源はTokuzoの前身?オープンハウスのライヴだったのだ。やっと耳にしたのは94年。当方個人的には三上寛の個人史全貌は無理なので、この十数年間に思いを寄せる。