不快の証明@Spiral Mart

3度目の来静。Spiral Martの階段を上がると既にT**さんの姿。入り口の踊り場で洩れ出るリハの音を聞きながら大汗が吹き出る。1500円 with 大盤振る舞いのコップワイン。今宵の客席はミュージシャン度が高いという。
望月治孝。vo+gtから。明瞭な、力みのない歌。次はどこから調達したのか驚きのvo+ピアノ。前回のエレピよりも演奏者の手足に近い、エモーショナルなもの。「夢の途中」は白旗さんに捧ぐ、か。
キキミミズ。彼もまた唄うことへのこだわりを自覚しているとすぐにわかる。ac-gtのバッキングも含め即興というよりよく完成された楽曲は氏の決意表明が唄われる。決して流れないよう、流されないよう、初源を確認するかのような歌。唄うことは決して自明ではない。そのためかカバーを一曲。それにしてもこの場所で出会う演奏者たちが例外なく優れた歌い手であることにも感銘を受ける。
最後のセッション。望月治孝sx,p+ワダミツノリgt,vo+白旗丘(UP-TIGHT)ds,pc。リハでドアの向こうから聞こえてきたフィードバックはいったい誰だろう?と思いきやキキミミズことワダミツノリ氏であった。ここではエレクトリック・フィードバックを、とても新鮮。白旗さんは単に「スリーピース・バンドのドラマー」ではなく、ワイヤーなど細かな材質を手にして悲しみと祝祭を演出するパーカッショニストUP-TIGHTを最初に観たのはウルトラビデと共演したときだったが、そのときの戦慄を思い起こさせる。かつ当方にとっては年頭に初めてこのハコを訪れてから今宵までがひとつのつながりである気がしてならない。最近、70年代初頭の日本のフリージャズを聴いていたのでその系譜に位置付けようと目論もうとも(プレイ・ラウドに安住せず)早川義夫のカバーも披露され、形容しがたいジャンルだった。終演後、馬場さん、豊岡さんにもお会いできた。そしてうちあげでは飲みすぎました。