パーシー・フェイス・オーケストラ@三重県文化会館

帰宅後、自宅から車で2分。\3000。宝くじ助成でほぼ半額というチケットは発売翌日にかろうじて入手できた。以前に出た来日記念盤CD(再吹き込み)とコンサートパンフ1000円は見合わせ、代わりに無料でポスターをいただく。向かって右、ステージに近いボックス席の最前列、しかし視界にはステージよりも客席が広く見渡せる。初老の夫婦連れが目立つ。こんなに人気があったのか。隣りの席の単身ご婦人は「サッカーもあって迷ったかしら」「あなたは若いほう」「名古屋だったら着飾っていかなくちゃいけないけどここなら普段着で来れる」「若い頃はマントヴァーニとか真珠貝の、何だったっけ」とはしゃいでいる。太っちょのミキサーがゆっくりと客席後方へ移動し終えると馴染みのあるピアノの三連符で幕が開く。「夏の日の恋」は当方の生まれた60年のヒット、しかし我が両親にはそんな趣味を楽しむ余裕はなかったはず。まるで自分が両親に代わってコンサートへ臨んでいるような気持ちになる。ステージ前方にストリングス、後方にリズム隊、ブラスが並ぶ。総勢40名弱、このゴージャスな編成を、最近どこかでお目にかかったのでは…と記憶をひもとくとブライアン・ウィルソンのSMILEツアーに辿りつく。マスターピースともモンドとも言われた伝説の作品、ライヴの総勢は少なかったとはいえジャズ・スタンダードを挟んだ構成はあくまでも基本はハリウッド・ドリーム、いやアメリカン・ドリームではないのか。「アメリカン・ドリーム」といえば藤本卓也のソロ作も最近聴いていない、と心で口ずさむ、「あいつは俺の…アメリカン・ドリーム…」こんなことをしている場合ではない。コンサート・マスターに位置する老バイオリニストが奏でる「I only have eyes for you」のソロに目頭が熱くなる。味がある。人間国宝級。第一部のハイライトとみた。この曲が繰り返し流れる民放FM番組を好んで聴いていた。プログラムの曲はほとんど知っているのは主に高校生の頃聞いていたのではないか、いや大学の最初か。ロックの王道もろくに聴かずに…。ストリングスも含め、各楽器はPAにつながっていたにせよ、いい音だった。ほかバイオリンもフルートも、パーシー・フェイス特有の、滑らかに合いの手を入れるような編曲を実際にこなしていたのをみた。打楽器のみならず管楽器も頻繁に持ち替えていた。第二部、「Bouquet」の生演奏も緊張して聴いた。弦の乾いたような、深い感じがよく出ていた。あとおなじみの映画音楽とかラテン・ナンバーとか。ブラスが活躍するとストリングスは聞き取れなかった。アンコールは時間一杯行われ、「夏の日の恋」完奏とか「夏の日の恋76」も聴けた。
「ザリガニツリ」
パーシー・フェイス協会から会報。
竹村淳さんから手紙。
友寄隆哉氏より便。