河端一@Blue Monk

夕方より大阪へ。電車では山本夏彦を読む。難波駅に着いて時間に余裕がありそうなので歩いてアルケミーレコードを目指す。でも暑さのぶり返しの最中、徒歩をすぐに後悔する。アルケミーには(いつもだが)目ぼしい?ジャパニーズ・インディは決して多くはなく(ギューン知恵の輪とか入手済みだし)「オシリペンペンズCDR」と「ディヴィアンツ/プトゥーフ(MSI版・中古)」だけ求めてそそくさと後にする。会場の地図は手帳に控えてきたものの四ツ橋線と御堂筋線に共通な駅とは本町駅だったか心斎橋駅だったか忘却してしまい電話する。心斎橋駅からひと駅乗車、しかし初めて降りる駅ではいつも緊張し迷子になる。25番出口は正反対側で地上へ出るのに時間がかかりお店に着いたとき相当汗をかく。
 大通りをひとつ入っただけでどこか下町ふうの親しみのある通り、車の通行が少ないからだろうか。店の外の黒板に本日の出演《河端一(g)》と書いてあるだけではジャズ・ギターと区別がつかない。細長い店内の奥まったところがステージ。脇の壁には普段行われているであろう、ジャズのスナップ写真が張ってある。トリオまでなら演奏可能な狭い場所。その壁に数本のギターが立てかけてある。先客はハード・レインでもおなじみお二方。まずカレーを。よく溶け込んだ味。しかし食事タイムではなかったようだ。さてお客はなかなか集まらない。結局、普段の常連のような方が集まり店内いっぱいとなったが、遠くから出かけていくほうがおかしいのか。上演前はほとんど阪神タイガース論議で過ぎ行く。さて余所行きの(=ハードレイン的でない)短いMCでスタート、小さなギターアンプひとつだけでPAなし、アンプラグドみたいなものである。ところが音の広がりは見事で、小さな会場の部屋全体を共鳴箱のように音が散らばる。カメラを構えながら入り口近く最後列に移動すると後方からもPAが鳴っているような錯覚に!サラウンド必要なし!stage1 は最近馴染みの弓弾き〜十手弾き〜pink lady lemonade のやつで一時間、第二部はブズーキ〜エレクトリック・シタール〜ギターで一時間。どこか初期の Durutti Column を思い起こさせるほどみずみずしく、しっとりとした部分もあった。終演後のMC、河端さんが幼い頃、お世話になったのがママさんの父親だったとのこと。墓石の下で父親がいちばん喜んでいるだろう、父親が亡くなってから交友が始まったこと、もし父親が甦ったらびっくりするだろう、と言うママさんの締めくくりに圧倒される。きわめてプライベートなライヴとコスモスの落差、いや紙一重だろうか。なお休憩時間が思いのほか長く第二部途中で本日終電で帰宅するのを諦め、大阪泊を決定する。終演(23:23)後、自宅へ電話したらガチャンと切られた。