佐渡山豊@源

夕方、仕事が順調に終わったため近鉄特急で名古屋へ。実は同時間帯にTokuzoでは三上寛のライヴがあり、地下鉄今池駅を降りたところでしばし迷ったのだが池下方面へ向かう(ほんとうは決めていたのだが)。その前に名古屋ウニタにて「内田百間集成11タンタルス」「つげ義春初期傑作短篇集第4巻」「まぼろし小学校/串間努(古本)」。
源は今池ダイエー通りからわずかにはずれた鉄筋の民家、その一階LDKが会場である。HPから当方は飲み屋と思い込んでいたが違っていた。それでも缶ビールとかコーヒーは飲めた。客席にさかうえけんいちさん、ところが病院を抜け出てきたという。顔面神経片麻痺で入院中だったのだ。情宣には《往年のフォーク・シンガー》。先入観を後押ししているような物ではないか。最前列に遠方から来る旧友が陣取っているようで盛んにリクエストしている。結果としてはそんな後ろ向きのものではなく、独白めいたトーク、ふだん氏の頭の中に温めていたものがふと洩れるようなトークを挟むため、なかなか前に進まない。それでも新曲を2曲唄ったこと、「エレジー」を唄ったことで特筆すべきであった。しかし。往年の歌手がやってきて再会を喜ぶこと。私はそれに付き合うつもりも無い。まさかご当人も旧い友人への便りとして唄っているわけでもなかろう。いや、あの時期に、氏の活躍を目の当たりにしてしまった者だけが享受できる再会だと言われればそうかもしれない。だが唄は普遍である。私は、佐渡山豊が復活したとは思えなくなってきた。喩えれば、四半世紀を過ぎて「死霊」の続きを書き始めた埴谷雄高のように(ドゥーチュイムニィもそうであるが)、続きなのではないか。ただ現在の活躍は、あまりにドン・キホーテの役が廻ってくることもある。(続く)

二人だけの劇場セザンヌ遠藤さまより高林陽一監督の新作「愛なくして」特別披露試写の案内。