ブライアン・ウィルソン名古屋公演。

前から4列目のよい席。舞台後方からのスポットライトがまぶしい。と思っていたらもう真正面にブライアンが座っていた。一曲目「til I die」の最後のファルセットが美しく彼が復調していることを物語った。前回の来日では山下達郎が云うように日本に足を踏み入れただけでドラマとなっていた(私の行った大阪公演では悲鳴のような歓声から始まった)。しかし今回は「聞かせてくれる」のだ。超有名曲たとえば「Don't Worry Baby」「Please let me wonder」も美しかったがこちらも構えていた。しかし「Lord Prayer」とか「Friends」とか不意をつかれると涙が止まらなかった「Surf's Up」も鳥肌が立った。第一部だけで8500円満足だった。しかし第二部「Pet Sounds」まるごとライヴが控えていたのだ。何曲かは前回ほどのインパクトはなかったが「I Just Wasn't Made For These Times」でこらえきれず泣けてしまった。バックバンドによるコーラスが美しい。私がBeach Boysの歌を知ったのは中学生の頃ベスト盤「Endless Summer」からだ。その頃はサーフィン、ホットロッドはもとよりドラッグ、カウンターカルチャー…何も知らなかった。その後、多くのロック・ミュージックに出会い、サイケデリックミュージックを聴いた。60年代を勉強した。「Smile」をめぐる一件も知識を得た。ブライアンの初ソロ「Brian Wilson」の果敢ない唄声を聴くにおよんで再燃、今日に至った。しかしながら。今宵はリスナー歴30年弱の到達点ではなかったか。余談ながら今度こそ余分なグッズを買わないよう誓って会場に向かったのにまたポロシャツなど買ってしまうのはどうしたわけか。