Victoriaは70年代のバンドですが

  • Victoria - s/t (shadoks,CD)某ネットショップより。

昨年の後半に当方が熱中したもののひとつに、JA(Jefferson Airplane)フォロワーをフォローした。そもそもJAじたい、ちゃんと聴き込んでこなかったわけだし、フォロワーといってもJAとはなんら関係なく、60年代後半で紅一点がいるというだけの情報を頼りに(上記も70年代に入って、と既に例外だが)、今更、という声をあろう。しかも既にオリジナル盤など入手困難とあきらめたうえで物事を始めていく、そのイージーさじたいCD普及の弊害とも言えるのだが。CD化という名目でどんな音源も横一列に復刻されていったこともCDの功罪であろう。本来、或るレコード店にて遭遇したレコードに一喜一憂する、という《物語》が成り立っていた。現在でもそれは可能なはずだが、忙しさを理由にサボってきたわけで、つまるところ本稿は自業自得の話か。これにインターネットの普及が相伴って(ちょうどCDの普及の時期が社会人になった頃と重なったこともあって)当方にとっては音源との出会いが変わってしまった。ネットショップではどの店で出会ったのかは二の次にされてしまう。先方の事情ではなくこっちの都合で集めてしまえる状態に。FalloutやShadoks、Radioactiveなどのレーベルものを次々とチェックしていく。近所にそういった音源の持ち主が居れば通い詰めて勉強させていただくだけで十分かもしれない(そういう人物がいないわけでもないけれども)。かつて輸入CDなど2180円といった通例があったものの、現在では送料込みでも単価千円未満で入手可能となればついつい進めてしまう。いくつかはCDにもかかわらず既に廃盤扱いされていたが、そういった情報さえ怪しく、ほんの少しだけ時間をかければプレミア価格でなく手にすることができる。要は、金さえ(ケチって)払えば気楽に手に入る、ということ。ただしここで入手できた音はあくまでも代理品でしかない。かつてFM雑誌の折込付録だったカセットレーベルを挟み込んだカセットテープと同様のパッケージにちがいないではないか(オーディオの観点からはまた別の話となるので省略)。紙ジャケではその幻想度は高いにせよ五十歩百歩。1980年代の真ん中、音がよい、手軽、そしてボーナス・トラックが入っている、などなど様々な触れ込みで確実に移行していったCD、いったんは普及に成功したという点でエルカセットほどには扱われないものの、フロッピーディスクあたりとどっこいどっこいになっていくのではないだろうか。 CDというものは壮大な仇花ではなかっただろうか。部屋を圧倒するプラケースのあの厚みは薄っぺらいCD側の精一杯の抵抗のようにさえ思える。